扶養型の寄与分とは?|寄与分のパターン④

扶養型の寄与分とは?|寄与分のパターン④

実務上、寄与分のパターンは5つに分類されています。
この記事では、寄与分のパターンのうち「扶養型」について解説します。

寄与分とは

寄与分とは、相続人の中に被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与(貢献)をした人がいる場合に、その貢献を考慮して相続分を修正する制度のことです(民法第904条の2第1項)。

扶養型の寄与分とは

扶養型の寄与分とは、被相続人を扶養したことによって寄与分が認められる場合です。

大阪家庭裁判所昭和61年1月30日審判
「申立人は昭和42年結婚後も被相続人と…同居し、その死亡に至るまで被相続人を扶養し、被相続人自身の交際費として毎月多額の小遣いを与え…不動産にかかる火災保険、補修改造、公租公課を全額負担してきた」
「申立人Xが被相続人を扶養した18年間にわたる金銭的負担は少く見積っても825万円となり…本来兄弟8人が能力に応じて負担すべきところをXが全面的に引受け、これがため被相続人は自己の財産を消費しないで遺産となったのであるから本来的義務を超えて負担したものとみなされる部分に対応する寄与の効果を認めるのが相当である」

扶養型には次の2つのパターンがあるとされます。

①被相続人を現実に引き取って扶養する場合
②扶養料を負担する場合

①のパターンは、療養看護型と類似しているといえますが、被相続人が療養や介護を必要とする状態(要介護認定を受けているなど)になくても寄与分が認められる余地があるため、療養看護型とは異なる側面があります。

②のパターンは、金銭等出資型と類似しているといえますが、扶養のための給付であることから、金銭等出資型とは異なる側面があります。

扶養型の寄与分のポイント

寄与分の一般的な要件は次のとおりです。

①特別の寄与であること
②対価を受けていないこと
③被相続人の財産の維持又は増加との間に因果関係があること


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これらの要件を扶養型で主張する場合のポイントを紹介します。

特別の寄与であること|特別性

扶養型の寄与分において「特別の寄与」といえるためには、扶養の必要性、継続性が必要と考えられています。

扶養の必要性

被相続人が実際に扶養を必要とする状態(要扶養状態)であったといえなければ、扶養型の寄与分は認められません。
要扶養状態にあったかどうかは、被相続人の身体的な状態や経済的な状況などから判断されます。
被相続人が健康で十分な預貯金を保有していたような場合には、要扶養状態は否定されるでしょう。

継続性

扶養が一定期間継続していなければ、「特別の寄与」とはいえないとされています。
たとえば、被相続人が怪我や病気で短期間働けなかった際に扶養したといった程度では、継続性は否定されるでしょう。

対価を受けていないこと|無償性

扶養型の寄与分においても、対価を受けていないことが要件となります。
ただし、完全に無償である必要はなく、著しく少額であれば、無償性が認められると考えられています。
なお、被相続人の自宅に無償で同居していた場合などには、実質的な対価を受け取っていたとされ、無償性が否定される可能性があります。

被相続人の財産の維持又は増加との間に因果関係があること

被相続人を扶養した結果として、被相続人の財産を維持又は増加させたことが必要です。

扶養型の寄与分に関する質問

扶養型の寄与分の額はどのように算定されますか?

実務上、次の計算式によって算定されるのが基本です。

扶養のために負担した額×裁量割合

扶養のために負担した額は、実額がわかればそれによることができますが、算出できないケースも少なくありません。
そこで、厚生労働省告示による生活保護基準を参考に算定してもよいと考えられています。
また、寄与分の判断には家庭裁判所の裁量が認められているため、個別の事案に応じて「裁量割合」として寄与分の額が減額されることがあります。

被相続人が不動産を所有していた場合、要扶養状態は否定されますか?

被相続人が不動産を所有していたとしても、それだけで要扶養状態は否定されません。
たとえば、被相続人に他に十分な資産や収入がなく、不動産を売却することも現実的とはいえないといったケースでは、要扶養状態が認められる可能性があるでしょう。

まとめ

この記事では、扶養型の寄与分について解説しました。
寄与分を主張したい場合には、その要件を寄与分のパターンに応じて適切に主張・立証する必要があります。
寄与分でお悩みの方は、弁護士にご相談ください。