
金銭等出資型の寄与分とは?|寄与分のパターン②
この記事では、寄与分のパターンのうち「金銭等出資型」について解説します。

寄与分とは、相続人の中に被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与(貢献)をした人がいる場合に、その貢献を考慮して相続分を修正する制度のことです(民法第904条の2第1項)。
金銭等出資型の寄与分とは、被相続人に対して財産上の給付をしたことによって寄与分が認められる場合です。
財産上の給付とは、財産権又は財産的な価値のある利益を与えることを意味します。
たとえば、被相続人が不動産を取得するにあたって、相続人が資金を援助した場合などが金銭等出資型に該当します。
和歌山家庭裁判所昭和59年1月25日審判
「申立人は…被相続人と相談して…被相続人名義をもって本件遺産に属する…宅地・居宅を代金合計1358万円で購入し、そのうち1255万円・90.6パーセント相当は、実に申立人が提供したものであった。かかる事情からすれば、共同相続人の一人である申立人については、相当の寄与分を認めてしかるべき」である。
また、被相続人名義の不動産のローンを返済したような場合も金銭等出資型に該当します。
大阪高等裁判所平成27年3月6日決定
「ローンは…抗告人の資産を原資にして返済されたものと推認される。以上によれば、抗告人には、遺産である実家土地の購入に当たって700万円の寄与があったと認めるのが相当である」
寄与分の一般的な要件は次のとおりです。
これらの要件を金銭等出資型で主張する場合のポイントを紹介します。
寄与分が認められるためには、被相続人との身分関係に基づいて通常期待される程度を超える「特別の寄与」である必要があります。
「特別の寄与」といえるためには、それなりの金額でなければならず、小遣い程度の金額だと「特別の寄与」には該当しません。
なお、金銭等出資型の場合は、家業従事型などで必要とされていた継続性と専従性は不要です。
金銭等出資型の寄与分においても、対価を受けていないことが要件となります。
たとえば、贈与ではなく貸付けをした場合には、原則として、無償とはいえません。
また、被相続人が住宅を新築するにあたって資金を援助したものの、その住宅に長期間無償で同居したような場合にも、無償性が否定される可能性があります。
被相続人に財産上の給付をした結果として、被相続人の財産を維持又は増加させたことが必要です。
この要件に関して、被相続人の事業のために出資をしたが、事業が失敗して出資額が失われてしまったといったケースで寄与分が認められるかという問題があります。
この問題については、寄与分が認められるとする考え方も、認められないとする考え方もあり、具体的な事案に応じて判断すべきといわれています。
代表的な計算式は以下のとおりです。
なお、寄与分の判断には家庭裁判所の裁量が認められているため、個別の事案に応じて「裁量割合」として寄与分の額が減額されることがあります。
贈与当時の金額×貨幣価値変動率×裁量割合
貨幣価値変動率を乗じるのは、贈与当時の金額を相続開始時の貨幣価値に換算するためです。
実際は、消費者物価指数を参考にして貨幣価値の変動を考慮します。
総務省統計局ホームページ
消費者物価指数(CPI)
相続開始時の不動産価額×(贈与金額÷取得当時の不動産価額)
住宅ローンの支払いも同様の方法で計算されます。
相続開始時の不動産価額×裁量割合
相続開始時の賃料相当額×使用年数×裁量割合
法人化された会社と被相続人は、法的には別の人格です。
会社への出資は、「会社に対する貢献」であって、「被相続人に対する貢献」ではないため、原則として、寄与分は認められません。
ただし、会社というのは名ばかりで、被相続人と会社が経済的に極めて密着した関係にあったような場合には、例外的に、寄与分が認められる余地があります。
高松高等裁判所平成8年10月4日決定
「X建設は被相続人が創業した株式会社であって被相続人とは別人格として存在しており、その実質が個人企業とは言いがたい。しかし…X建設は被相続人の個人企業に近い面もあり、またその経営基盤の主要な部分を被相続人の個人資産に負っていたものであって、被相続人がその個人資産を失えばX建設の経営は危機に陥り、他方X建設が倒産すれば被相続人は生活の手段を失うばかりでなく、担保に供している個人資産も失うという関係にあり、X建設と被相続人とは経済的に極めて密着した関係にあったものである。そうすると、X建設の経営状態、被相続人の資産状況、援助と態様等からみて、X建設への援助と被相続人の資産の確保との間に明確な関連性がある場合には、被相続人に対する寄与と認める余地があるということができる」
この記事では、金銭等出資型の寄与分について解説しました。
寄与分を主張したい場合には、その要件を寄与分のパターンに応じて適切に主張・立証する必要があります。
寄与分でお悩みの方は、弁護士にご相談ください。