家業従事型の寄与分とは?|寄与分のパターン①

家業従事型の寄与分とは?|寄与分のパターン①

実務上、寄与分のパターンは5つに分類されています。
この記事では、寄与分のパターンのうち「家業従事型」について解説します。

寄与分とは

寄与分とは、相続人の中に被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与(貢献)をした人がいる場合に、その貢献を考慮して相続分を修正する制度のことです(民法第904条の2第1項)。

家業従事型の寄与分とは

家業従事型の寄与分とは、被相続人の事業(家業)に関する労務の提供によって寄与分が認められる場合です。
たとえば、被相続人が営んでいた農業に相続人が従事したケースなどが想定されます。

徳島家庭裁判所昭和52年3月14日審判
「Xは相続開始まで40年以上の長期にわたり学校を中途退学までして家業の農業に専従し、被相続人に協力して精励し、戦後は文字通り農業経営の支柱となって遺産の維持に貢献したものであることは否定できない事実であり…Xにつきその寄与に相当するものを評価しなければならない。そこで寄与の程度について考えると…遺産に対するXの寄与分は20%と認めるのが相当である」

家業従事型の寄与分のポイント

寄与分の一般的な要件は次のとおりです。

①特別の寄与であること
②対価を受けていないこと
③被相続人の財産の維持又は増加との間に因果関係があること


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これらの要件を家業従事型で主張する場合のポイントを紹介します。

特別の寄与であること|特別性

家業従事型の寄与分において「特別の寄与」といえるためには、継続性と専従性が必要と考えられています。

継続性

被相続人の事業に対する労務の提供が一定期間継続していなければ、「特別の寄与」とはいえないとされています。
どれくらいの期間が必要なのかについてはケースバイケースですが、3、4年が一つの目安といわれています。

専従性

被相続人の事業に対する労務の提供が片手間で行われているような場合には、「特別の寄与」とはいえないとされています。
「特別の寄与」といえるためには、かなりの負担を要するものでなければなりません。
たとえば、本来の仕事の合間に、週1、2回程度家業を手伝ったといった程度では「特別の寄与」とはいえないことが多いでしょう。

対価を受けていないこと|無償性

家業従事型の寄与分においても、対価を受けていないことが要件となります。
相応の給与を受け取っていた場合には、無償性は認められません。

札幌高等裁判所平成27年7月28日決定
「月25万円から35万円という相応の収入を得ていたことが認められること…被相続人と同居し、家賃や食費は被相続人が支出していたことをも考慮すると…事業に従事したことにより相応の給与を得ていたというべきであり…事業への従事が、被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をしたとは認められない」

ただし、完全に無償である必要まではありません。
家業に従事している場合、一定の給与を受け取っていたり、生活費を負担してもらっていたりするケースが少なくないでしょう。
一定の対価を受け取っている場合でも、世間一般の給与と比べて著しく低い金額しか受け取っていない場合には、無償性が認められることがあります。

被相続人の財産の維持又は増加との間に因果関係があること

被相続人の事業に従事した結果として、被相続人の財産を維持又は増加させたことが必要です。

家業従事型の寄与分に関する質問

家業従事型の寄与分の額はどのように算定されますか?

実務上、次の計算式によって算定されるのが基本です。

通常得られたであろう給与の額×(1-生活費控除割合)×寄与の期間

生活費控除とは、被相続人と同居したり、生活費を負担してもらったりしたことで、生活費がかからなかった分についての控除です。
被相続人が生活費等を実質的に負担していた場合には、その部分については満足を得ているので、寄与分を算定するにあたって控除されるということです。
控除すべき実額が明らかとならないケースが多いため、割合で控除されるのが通常です。

神戸家庭裁判所昭和50年5月31日審判
「Xの…給与相当額は約1,610万円であるところ、その約2分の1は生活費(食費30他20パーセント)としてすでに満足を得ている」

また、次の計算式によって算定されることもあります。

相続財産の全部又は一部の額×相続財産の形成に貢献した割合

こちらの計算式は、農業に従事してきたケースで使われることがあります。

大阪高等裁判所平成27年10月6日決定
「Xが農業に従事した結果、みかん畑として利用されている各土地がみかん畑として維持され、遺産の価値の減少を免れたことから、みかん畑として利用されている各土地の評価額(相続開始時)の30パーセントを寄与分とするのが相当である」

被相続人が経営する会社への労務提供について寄与分が認められることはありますか?

法人化された会社と被相続人は、法的には別の人格です。
会社への労務提供は、「会社に対する貢献」であって、「被相続人に対する貢献」ではないため、原則として、寄与分は認められません。
ただし、会社というのは名ばかりで、被相続人と会社が経済的に極めて密着した関係にあったような場合には、例外的に、寄与分が認められる余地があります(高松家庭裁判所丸亀支部平成3年11月19日審判)。

まとめ

この記事では、家業従事型の寄与分について解説しました。
寄与分を主張したい場合には、その要件を寄与分のパターンに応じて適切に主張・立証する必要があります。
寄与分でお悩みの方は、弁護士にご相談ください。